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AR/VRとIoTでどんなことができる?大量データをリッチに表現する未来像を解説

AR/VRとIoTでどんなことができる?大量データをリッチに表現する未来像を解説

さまざまなモノがインターネット上で有機的につながるシステムの仕組み「IoT」と、同じくコンシューマーのみならず多くの業務シーンでの活用が進んでいるARやVRの技術が組み合わさると、どんなことができるようになるのでしょうか?本記事では、AR/VRとIoTの組み合わせがどのような未来をもたらすのかについて、それぞれの技術が得意とすることを確認したうえで、想定される活用方法をご紹介していきます。

さまざまなモノがインターネット上で有機的につながるシステムの仕組みとして注目されている「IoT」。多様な情報が「データ」として流通できるようになってきたからこそ、ビジネスシーンはもとより医療や教育現場においても、IoT技術を活用したプロジェクトが増えている印象です。

そんなIoT技術と、同じくコンシューマーのみならず多くの業務シーンでの活用が進んでいるARやVRの技術が組み合わさると、どんなことができるようになるのでしょうか?

本記事では、AR/VRとIoTの組み合わせがどのような未来をもたらすのかについて、それぞれの技術が得意とすることを確認したうえで、想定される活用方法をご紹介していきます。

なお、ARやVRについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。

ARとは? VR・MR・xRとの違いやビジネスでの活用を解説!!
【入門編】VRとは? 何ができるか解説! ARとの違いも

おさらい:IoTとは

まずは、IoTがどのような技術なのかについておさらいしましょう。

IoTとは「Internet of Things」の頭文字をとった造語で、日本語では「モノのインターネット」とも表現されます。

インターネット自体、もともとはパソコンというモノ同士をつなげるネットワークであったわけですが、ここ数年で注目されているIoTでは、パソコン以外にもさまざまなモノがインターネットにつながることで、従来では取得できなかったような多様なデータを細かく収集・分析できるという点が、特に注目されています。

さまざまなモノに埋め込まれるセンサー類

どんなモノにセンサーが内蔵できるかについて、家での生活シーンを考えてみましょう。たとえば冷蔵庫にセンサーが組み込まれている場合、冷蔵庫のドアの閉め忘れのアラートはもちろん、スマホアプリと連動させる形で冷蔵庫内の各製品の状況をチェックできるようになります。現在冷蔵庫に入っている卵はいつ購入したモノなのか、といった情報を即座に確認できるようになるでしょう。

また、上記のような電化製品のみならず、たとえばトイレの電気や水道メーターといったインフラ部分でも、IoT技術を活かすことができます。消し忘れなどの防止はもちろん、たとえば単身で居住している高齢者のみまもりサービスとして、電気メーターの駆動状況をリアルタイムにチェックするようなモノも考えられるでしょう。

収集したデータを元に遠隔より操作もできる

ここまでご紹介したように、IoTでは物理的に離れた場所の状態を細かく可視化することができますが、確認だけではなく、操作することも可能になります。

たとえば先ほどの冷蔵庫の例に沿って、冷蔵庫内にある卵が残り2つで、いずれも消費期限が残り1日となっている場合を考えてみましょう。この場合、連動しているアプリから提携しているECストアへの注文リコメンドが表示され、利用者はそれを承認するか却下するかだけを選択すれば良い、というサービスを構築することができるかもしれません。

このように、遠方にあるモノの状態を確認し、必要に応じて操作できる点が、IoTによる基本的な機能になります。

IoTが本領を発揮する「M2M」

このような単純な例をあげると「なーんだ、それだけか」と思われるかもしれませんが、IoTが本領を発揮するのは、機械同士が自動でデータのやり取りをする「M2M」の領域においてです。

ここまでの例と異なり、人の手を介さずに機械同士が細かく相互通信ができるようになると、さまざまな情報が高速で飛び交うことになり、各情報をAIなどの判断システムが制御することで、リモートでの監視やアラートの発出はもちろん、無人店舗や無人農業といったさまざまな産業分野への応用が可能になります。

AR/VRとIoTの組み合わせが注目される理由

AR/VRとIoTという組み合わせは、数年前より注目度が高まってきています。以下では、その要因としてあげられる3点について説明します。

市場的な要因

1点目は、両技術の市場性にあるといえるでしょう。調査会社であるIDC Japanが2020年9月に発表したデータによると、国内におけるIoT市場規模について、2019年の支出額は7兆258億円であったのに対し、2024年は11兆4,697億円になる見込みで、2019年から2024年における年平均成長率は10.3%にのぼると発表されました。2020年〜2021年の成長スピードが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で若干減速したことに鑑みると、注目度は依然として高いことが見受けられます。

またARのようなxR市場についても、米Grand View Research社が2021年3月に発表した調査レポートによると、その市場は2028年までに696.0億米ドルに達すると予想されており、2021年から2028年にかけて18.0%の年平均成長率を記録すると考えられています。

このように、期待値の大きく2市場の組み合わせだからこそ、ビジネスシーンにおける期待値も高まっていると想像できます。

技術的なすみわけ

2点目としては、AR/VRとIoT、それぞれの技術的な役回りがすみわけされており、互いが補完的な役割を担うからだといえます。

IoTは先ほどもお伝えした通り、さまざまなデータを「流通」させることに強みがある技術です。一方でAR/VRは、流通するデータの「表現」をリッチにすることに強みがある技術です。

つまり、データの流通とそれらの表現という一連の流れで捉えたプラットフォームにおいては、AR/VRとIoTの組み合わせは非常に相性が良い、ということになります。

5G環境の普及

そして3点目が、2020年から本格的にスタートしている5G通信の普及でしょう。従来の4Gに比べて通信速度が速く、大容量通信を実現する規格である5Gが普及していくことで、動画を含めた各種コンテンツの品質が向上するだけでなく、コンテンツサービスのクラウド化や情報の双方向通信が容易になります。

つまり、5G環境が普及すれば普及するほどに、先ほどお伝えしたM2Mもますます加速することになり、結果としてAR/VRとして表現できることもどんどんとリッチになっていくといえます。

なお、5Gがもたらすインパクトについては、以下の記事もご参照ください。
VRの市場規模は5G登場でどう変わるのか?2020年の業界動向と、2021年以降の市場を予想

AR/VRとIoTが実現する未来の活用シーン

それでは、AR/VRとIoTの組み合わせとして、具体的にどのような活用ケースが考えられるでしょうか。以下、複数領域での活用シーンを想定してみます。

製造現場における機器のメンテナンスシーン

ARとIoTを活用したメンテナンス

工場などの製造業では、日々大量の業務データが域内システムを行き交っています。Googleが未だに整備できていないデータ領域が、この製造現場における膨大なデータ群だ、ともいわれているくらいです。

これら工場などで稼働している各種機器の一つひとつにセンサーを組み込むことで、中央管理システムは継続的に機器のパフォーマンスを監視して障害などを予見することができるでしょう。

障害の予見がなされた際は、今度は人だけが対応できる作業として、ARグラスを装着した保守作業員が、グラス上に表示されるメンテナンス手順に則して対応を進めることになります。紙のマニュアルと違って、実際のデータに基づいたリアルタイム性のある機器の状態を確認することができ、またその情報に沿ってARグラス越しのリアルな手順をチェックしながら作業を進めることができるので、未経験者であってもスムーズに対応を進めることが可能だといえます。

また設計の仕方によっては、保守担当者が現地にいなくとも、VRグラスを装着することで現地の状況が遠隔からでも可視化でき、遠隔操作だけで保守作業を完遂できるといったことも可能になるでしょう。

企業の商品開発シーン

AR/VRとIoTの組み合わせは、オフィスでの業務もシームレスなものにするでしょう。

例えば商品開発のシーンを考えた際に、最近では短期間でプロトタイプを制作して細かくリリースを重ね、徐々に顧客のインサイトへと寄せていくアジャイル式の開発手法がとられることが多くなってきています。

この際に、例えばリリースするプロトタイプにおいて、遵法性の担保を取ったうえで利用者の操作データなどを取得できるようにすれば、プロトタイプである製品の改良プランを迅速に立てることができるようになるでしょう。

またそのデータをVRグラス上で部門間共有することで、改良後の製品像も迅速に組み上げることができ、結果として製品投入から改良までのPDCA速度を一気に高めることができるようになります。

行政による公共サービス提供シーン

ここまでみてきたような民間業務のみならず、AR/VRとIoTの組み合わせは行政領域でも活用が望まれるでしょう。

例えば街の各箇所にセンサーを設置することで、例えば行政管理者は人が集まりやすい場所の情報を把握することができ、コロナ禍における人口密度の分散化施策を打つためのデータを迅速に収集できるようになるでしょう。

また、例えば国土交通省が進めているようなデジタルツイン情報と連携させたVRグラスを活用することで、既存の街の構成に新たな施設を加えた場合の人口動態や環境変化などを、迅速にシミュレーションすることもできるようになることが期待されます。

これから増えていくであろうAR/VRとIoTの組み合わせ

以上、今回はAR/VRとIoTの組み合わせがどのような未来をもたらすのかについて、それぞれの技術が得意とすることを確認したうえで、想定される活用シーンを解説していきました。

技術的な強みが違い、かつ5Gのような環境整備がなされていくことで、官民問わずさまざまな領域でのデータ利活用が大きく促進されることが期待されていることが、お分かりになったと思います。

とはいえ、両技術を活用した具体的なサービスは、まだまだ少ないのも事実です。今後、両技術が普及期へと突入し、AR/VRとIoTを組み合わせたソリューションが多く立ち上がっていくことに期待しましょう。

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