企業のDXに活かせるAR/VR技術。オフィスワークから建設業まで、活用事例を一挙紹介

Business
2021.04.21 | Motto AR編集部

ここ数年で飛躍的に目にすることが多くなったキーワード「DX」。企業のDXを推進する技術の一つとして、ARやVRの技術があげられます。具体的にどのような活用が想定され、またどんなケースで実際に使われているのでしょうか。本記事では、最初にDXの定義や必要とされている背景などを解説した後に、企業でのAR/VR活用シーンや事例を紹介していきます。

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ここ数年で飛躍的に目にすることが多くなったキーワード「DX(デジタルトランスフォーメーション)」。デジタル技術が発達し、生活のあらゆる場所がデジタル化されていくことで、人々の行動原理そのものが変容している状況を多く目にしていると思います。

そんな企業のDXを推進する技術の一つとして、ARやVRの技術があげられます。

具体的にどのような活用が想定され、またどんなケースで実際に使われているのでしょうか。本記事では、最初にDXの定義や必要とされている背景などを解説した後に、企業でのAR/VR活用シーンや事例を紹介していきます。

なお、ARやVRについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。

ARとは? VR・MR・xRとの違いやビジネスでの活用を解説!!
【入門編】VRとは? 何ができるか解説! ARとの違いも

おさらい:DXとは

DXとは

DXという言葉ができたのは、今から15年以上前です。2004年にスウェーデン・ウメオ大学のErik Stolterman教授が「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」と提唱し、デジタルトランスフォーメーションのあり方を解説しました。

経済産業省によるDX定義と、総務省によるDXまでの変遷

では、DXの定義とは何なのでしょうか?

経済産業省によると、以下がDXの定義として表現されています。

“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。”

経済産業省「DX推進ガイドライン Ver. 1.0」p2

また総務省は、DXに向けた変化は大きく以下の3段階にわけて考えることができると提示しています。

  1. インフラ、制度、組織、生産方法など、従来の社会・経済システムにAIやIoTなどのICTが導入される
  2. 社会・経済システムがそれらICTを活用できるように変革され、またICTの能力を最大限に引き出せるような新たな社会・経済システムが誕生していく
  3. 産業構造そのものが大きく変化していく
デジタルトランスフォーメーション
画像:デジタルトランスフォーメーション(総務省「情報通信白書平成30年版のポイント」より)

「2025年の崖」問題の存在

このDXが世のなかで一気に広まったきっかけは、経済産業省が2018年9月に発表した「DXレポート」です。

そこでは、企業がDXを適切に推進できないことによる経済損失が、2025年以降最大で12兆円にものぼることが記載されており、各企業の競争力低下へのカウントダウンが明示される形となりました。この他、システム維持費の高額化(技術的負債)やシステムトラブル・データ滅失などのリスク上昇など、ITに関する諸問題を指す言葉として、「2025年の崖」問題が登場しました。 

この状況を回避するために、現在、多くの企業がブラックボックス化したレガシーシステムの刷新を本格的に検討し、DXへのプロセスを進み始めているといえるでしょう。

デジタイゼーションとデジタライゼーション

ここで注意すべきは、DXとよく間違われる「デジタイゼーション」と「デジタライゼーション」という言葉です。

デジタイゼーションとは、ある工程のアナログ情報をデジタルへと置き換えることを示す言葉です。またデジタライゼーションとは、社内環境やビジネス戦略、社外環境など、企業活動にまつわるプロセス全体のデジタル化を意味します。

DXが社会全体への影響を含めた概念であるのに対して、これらはDXを実現するためのワンプロセスであるといえるでしょう。

経済産業省による「DX推進指標」

このように、DXは非常に広い概念であるがゆえに、自社がどこまでDXを進めることができているのかを一社だけで把握するのは困難です。

そこで経済産業省が提供しているのが、DX推進をどの程度進めているのか自己診断できる「DX推進指標」です。この指標は、関係者間の認識共有と、必要なアクションと気づきの提供を目的としており、ベンチマーク各社平均との比較をつうじて、自社におけるDX上の立ち位置を把握できるようになっています。

何かしらのDXプロジェクトを進めている企業は、ぜひ活用してみると良いでしょう。

≪プチコラム≫スマホ登場レベルのインパクトをもたらすAR/VR

このようなDXを実現するための技術は多岐にわたりますが、そのなかでも大きな役割を占めるものの一つがARやVRだと言われています。

そのインパクトは、私たちの生活に「スマートフォン」(以下、スマホ)が浸透していった状況に似ています。

そもそも、スマホ登場以前はIT革命やマルチメディア戦略の加速によって「Web2.0」なる言葉が登場し、さまざまな領域にまたがるWebサービスが登場していきました。そんな中、24時間365日ネットにつながった状態を実現するスマホの登場によって、誰もが手軽にネットの情報にアクセスできる状態が実現し、それを活かしたさまざまなサービス・ソリューションが登場していったわけです。

要するに、スマホが生活や産業、社会に浸透していったことで、私たちの日常生活を含めて世界を大きく変えたことに間違いはないでしょう。このようなインパクトは、ARやVRの登場によって、再度もたらされようとしています。

我が国では、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより経済発展と社会的課題の解決を両立する「Society 5.0」と呼ばれる社会システムの実現を目指しており、これそのものがDXの要であると言えます。

この際にARやVRが浸透していくことで、時間と空間を超えてさまざまな情報・コンテンツを体験できる状態を利用した、さまざまなサービス・ソリューションが生まれていくことが期待されます。

特に、昨今話題となっているAI技術と組み合わせることで、人々の視覚および聴覚経由での情報処理能力が飛躍的に高まっていき、スマホの登場以上のインパクトをもたらすとも考えられています。

ARやVRは、それほどの大きなうねりの中にある技術だと言えるでしょう。なお、AR/VRとAIの組み合わせについては、以下の記事をご参照ください。

AR/VR × AIでどんなことができる?組み合わせがもたらすビジネスインパクトを解説

AR/VRを活用したDXのメリット

AR/VRを活用したDXのメリット

このようなDXを実現するための技術は多岐にわたりますが、そのなかでも情報のアウトプットやインタラクション性をリッチにするものとして期待されているのがARやVRなど、人の感覚を拡張する技術です。

ここでは、AR/VRを活用したDXを進めるメリットについてみていきましょう。

ハンズフリーでの操作

ARグラスやVR-HMDを活用する場合、音声操作も含めてハンズフリーでさまざまな操作を行える点が、大きなメリットであるといえるでしょう。

たとえば現場作業で両手を使いたい場合、マニュアルが必要で緻密な作業の場合はどうしても片手でマニュアルをめくるオペレーションが必要になり、その分作業時間がかかってしまうことになります。これに対して、AR/VRを活用することでハンズフリーでのマニュアル参照が可能になると、その分作業効率がよくなり、結果として作業時間も削減されることになります。

リッチな情報の取得

AR/VRを活用すると、視覚情報がよりリッチになるというメリットもあげられます。

たとえば工場現場においてタブレットのカメラを使ったARシステムを使う場合、カメラ越しに画面表示される景色に重ねる形で、文字での解説やグラフによる補足などを表示させることが可能になります。そのため、より多くの情報量をもって作業を進めることができるようになります。

よりリアルなコミュニケーションの実現

たとえばVRシステムを使ってバーチャルオフィス空間での就業を実現すると、3D空間に没入する形になり、現実の出勤状況に即したようなリアルなコミュニケーションをすることができるでしょう。

もちろん、コミュニケーションそのものはZoomなどのビデオ通話システムやSlackのようなチャットシステムでも可能ですが、バーチャル空間では何気ない立ち話や雑談といった余白のあるコミュニケーションも行いやすくなるといえます。

遠隔支援

AR/VRを活用すると、視界を共有した上で遠隔コミュニケーションが可能になるので、プロフェッショナルによる遠隔支援が可能になります。

たとえば、従来では2名体制での対応が必要だった現場作業があった場合、ARグラスを使って一人が遠隔で指導できるようになることで、現場には1人だけ向かえば良いことになります。コロナ禍にともなうニューノーマルな非対面生活が求められる時代においては、非常に重要な用途だといえるでしょう。

AR/VRによるDX事例

最後に、AR/VRによるDXの具体事例をみていきましょう。

NEUTRANSでVRテレビ会議を実現(ローランド・ベルガー)

世界35ヵ国で事業展開する欧州系最大のコンサルティング・ファーム・株式会社ローランド・ベルガーでは、株式会社Synamonが提供するVRイノベーションタワー「NEUTRANS」を使って、海外オフィスとのコミュニケーションを円滑にする「シスターオフィスプロジェクト」を行いました。

プロジェクト自体はWebカメラと大画面モニターを使うなど、複数のコミュニケーション手段が用意されており、NEUTRANSによるVRコミュニケーションはそのなかの一つという位置づけです。

実際に顔をみながらのコミュニケーションよりも、バーチャル空間上でのアバターコミュニケーションのほうが、より気張らずに話すことができ、ミュンヘン・パリ・上海・東京の4拠点をつなげる実験を進めているとのことです。

手術の現場でHoloeyes XRを活用(東京歯科大学)

東京歯科大学では、Holoeyes株式会社が提供する「Holoeyes XR」を用いて、術前シミュレーションとおりにオペを施行できているかのチェックを実施しています。

具体的には、術前のCT画像から作製した骨のポリゴンデータと、手術シミュレーションした骨切り線と理想の完成像を、それぞれ同時に表示して、複雑な3次元的な位置関係を可視化させました。

Holoeyes XR導入前では、プロジェクションマッピングによる2次元的な動きの確認しかできていませんでした。ため、しかし、術野とARマーカーを重ね合わせ、それがHoloLensをとおしてみたマーカーと一致していることで、正しく手術が行えたかがわかるようになったというわけです。

HoloeyesXR VR MR「東京歯科大学 口腔病態外科学講座「口腔外科手術シミュレーションとVRカンファレンスでHoloeyes XRを活用」

TeamViewer フロントラインで造園現場作業をDX(日比谷アメニス)

造園施工から指定管理者まで造園に関わるさまざまな事業を展開する株式会社日比谷アメニスでは、株式会社アウトソーシングテクノロジーが提供するARソリューション「TeamViewer フロントライン」を活用して、現場作業の遠隔支援と報告書作成の両軸でDXを進めました。

遠隔支援としては、映像つきの遠隔通話をつうじて、ARマーカーを用いた指示を行なっています。これにより、現地に上席者が同行する必要がなくなり、初級者であっても緑地管理現場の状態確認ができるようになりました。

また、施工前・施工中・施工後の状況写真を撮って所定の報告書としてまとめる作業についても、スマートグラスのカメラ機能を使ってシームレスに作成できるようになったため、大幅な時間の削減につなげることができました。

スマートグラスを使って「造園技術」の遠隔支援と報告書作成業務を効率化〜ITトレンドEXPO2021春レポート

今後、あらゆる業種業態でDXが不可欠になってくる

以上、今回はAR/VRを活用したDXの活用シーンや具体事例について紹介していきました。オフィスワークはもちろん、医療シーンや建築・製造などの現場作業まで、幅広い領域でのDXを実現できることがお分かりになったと思います。

今後、あらゆる業種業態でDXが不可欠になってくるからこそ、AR/VRを活用したソリューションへのアンテナもあてておく必要があるといえるでしょう。

AR/MR領域や、企業全体のDXでお困りの場合は、ぜひアウトソーシングテクノロジーまでご連絡ください。

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