行政のデジタル化にAR/VRを活用。GovTech × xR事例5選をご紹介

Technology
2021.07.21 | Motto AR編集部

2021年はデジタル庁の創設が決定。
これによりデジタルガバメントの構築が大きく前進しました。
行政府機関におけるデジタル化は「GovTech(ガブテック)」と呼ばれ、来たるべき労働人口減に対応するテクノロジーとして期待が寄せられています。
今回は、GovTech領域で活用されているxRについて詳しくご紹介していきます。

  • twitter
  • facebook
  • LINE

2021年はデジタル庁の創設が決定し、デジタルガバメント(電子政府)の構築に向けて大きく前進した年だといえます。このような行政府機関におけるデジタル化は「GovTech(ガブテック)」と呼ばれ、来たる労働人口減に対応するテクノロジーとして、大いに期待されている領域となります。

今回は、そんなGovTech領域で活用されているxRについて、そのアプローチ例や実際の活用事例についてご紹介していきます。

なお、xR領域について詳しく知りたいかたは、以下の記事もご参照ください。

ARとは? VR・MR・xRとの違いやビジネスでの活用を解説!!

おさらい:GovTech(ガブテック)とは

GovTechとは

GovTechとは、Government(政府)とTechnology(テクノロジー)を掛け合わせた造語です。民間企業による各種テックソリューションを行政府機関が活用して、庁内のデジタル化を進めることを示し、住民や市民による行政手続きのほか、庁内で完結するような申請系処理についても、GovTech適用の範囲となります。

なぜ今、GovTechが注目されているのか

なぜGovTechがここまで注目されているかというと、民間企業以上に、行政府ではアナログな運用が散見されるからです。たとえばFAX運用。2021年6月15日に、河野太郎行政・規制改革担当相が記者会見で各省庁のFAX全廃の方向を発表しましたが、それから数週間後には各省庁からセキュリティの観点から反論が相次ぎ、事実上断念せざるを得ない状況になりました。

総務省が2020年に発表した「地方公共団体の総職員数の推移~令和2年」によると、行政府期間の職員数は過去25年間で約55万人減少した一方で業務自体は増大しており、それにも関わらずこのようなFAXや電話といったコミュニケーションスタイルがいまだに主流という状況なのです。圧倒的にDX、いや、その前のデジタル化ですら遅れている状況だからこそ、GovTechによる抜本的な改革が叫ばれています。

デジタル庁とは

その一つのアウトプットとして期待されているのが、2021年秋の創設で進んでいる「デジタル庁」です。デジタル庁については、準備室となるホームページにおいて、以下のように定義されています。

デジタル庁は、デジタル社会形成の司令塔として、未来志向のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を大胆に推進し、デジタル時代の官民のインフラを今後5年で一気呵成に作り上げることを目指します。徹底的な国民目線でのサービス創出やデータ資源の利活用、社会全体のDXの推進を通じ、全ての国民にデジタル化の恩恵が行き渡る社会を実現すべく、取組を進めてまいります。

引用:デジタル庁(準備中)ホームページより

創設の前段階として、まずは2020年12月25日に「デジタル社会の改革に向けた基本方針」が閣議決定され、そこで「オープン・透明」「公平・倫理」といった「デジタル社会形成10原則案」が掲げられ、「誰一人取り残さない」「人に優しいデジタル化」といったデジタル社会の形成に向けた原理原則が提示されました。

デジタル社会形成10原則案
画像:内閣官房「デジタル社会形成10原則案

これに則る形でデジタル庁も、その所管となる各業務を設計しているのです。

自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画

このような中央省庁の動きと連動して、自治体が取り組むべきDX内容を定めたものが、2020年12月に発表された「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」となります。

当然ながら、政府が掲げるデジタル社会を形成するには、各地域の自治体が域内住民へとサービス提供するラストワンマイルとして機能する必要があります。ここでは、これまで個別の自治体ごとに調達されていた情報システムを標準化・共通化することや、手続き処理をオンライン化することなど、複数の取り組み事項がガイドラインとして記載されています。

国が主導してデジタル化を進めつつ、組織体制の整備やデジタル人材の確保・育成 など、運用へと落とし込む部分については、各自治体が計画的に進めていくことが求められています。

GovTechを進めるメリット

GovTechを進めると、まずは住民・市民による行政府機関関連処理の利便性が格段に向上します。これまでは対面前提の紙記入による申請が当たり前だったわけですが、GovTechを取り入れることで、たとえば自宅から転居手続きが行えるようになることが期待されています。

また、申請関連の手続き業務が効率化されるだけでなく、たとえば観光領域のPRがデジタル化して魅力度がアップするなど、マーケティング強化施策の選択肢としても活かすことができます。xRの活用例としては、主にこの部分となるでしょう。

さらに、行政庁内の業務効率化にも貢献するでしょう。それまでは庁舎へと通勤して紙申請の処理を行うことが前提であったものが、デジタル化をすることによって、行政職員もまた自宅から直接パソコンなどを使って申請などの処理を進めることができるよう期待されています。

GovTechで活用されるVR事例

VR事例

では、GovTech領域で活用されるxR事例とは、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。まずは以下、VR事例を3つご紹介します。

城内のVR体感シアター(福島県会津若松市)

福島県会津若松市では戊辰150周年となる2018年より、鶴ヶ城鉄門内にVR体感シアター「VR幕末の会津若松」を設置しました。これは、3面マルチスクリーンにVR映像が映し出され、幕末の鶴ヶ城の中や城下町を巡る鷹になった気分で空から城下を巡るなどのストーリーを選択しながら、当時の空気感を味わうことができます。

鶴ヶ城への入場料は別途必要となりますが、入場後は無料で、このVR体感シアターを楽しむことができます。

戊辰150周年記念事業「VR」と「AR」で体験「幕末の会津若松」!

火災予防啓発・応急手当啓発(新潟県新潟市)

新潟県新潟市では、新しいテクノロジーを積極的に導入・活用することで市民サービスの向上と業務効率化を推進していく、副市長をリーダーとする新型ICTタスクフォースを、2021年3月に設置しました。

ここでテーマとなるテクノロジーは、AIからドローンまでさまざまですが、そのなかでもVRにおいては、火災予防啓発として自宅で行うVR初期消火訓練や、応急手当啓発として自宅で行うVR応急手当訓練などの実施が、実証実験などで進められるとしています。

新しいICTの活用に向けた取組みについて 新潟市

星空体験プログラム(鳥取県)

2016年に「星取県」へとキャンペーン改名した鳥取県では、その名のとおり、美しい星空を観光資源として活用できる地域になります。そんな同県では、県内で星空を活用した体験プログラムなどを提供している観光事業者に向けて、「星取県のイメージ動画」と「星取県VR動画」を制作し、提供しています。

星取県VR動画では、以下4つのコンテンツが提供されています。

  • 星取県の星空案内(6分40秒)
  • 星取県の星空を眺めてみよう(2分39秒)
  • 星取県の星空を眺めてみよう(1分)
  • 星取県の星空を眺めてみよう(1分) ※上田まりえさんのナレーションつき

星空が見えない日でも星空を楽しめる観光コンテンツとして活用されています。

星取県VR動画等を制作・公開!星空が見えない日でも楽しめます。/とりネット

GovTechで活用されるAR事例

AR事例

最後に、GovTech領域で活用されるAR事例を2つご紹介します。

COCOAR

自治体では多くのフリーペーパーや広報誌が発行されており、庁舎や観光案内所など、各公的機関で配布されています。そんな紙媒体にARを組み込むのが、「COCOAR」です。

地域のイベントやおすすめスポット、地域住民へのインタビューなど、面積が限定された紙面では伝えきれない魅力などを、AR動画を活用してより豊富に表現して伝えることができます。

たとえば兵庫県市川町の広報誌では、COCOARを使って成人式の動画をみることができるようにしたところ、普段は広報誌を見ない若年層であっても手に取られることが多く、発行部数に対して閲覧数が多くなるという状況になりました。

ARを官公庁・自治体の情報誌に活用 | AR(拡張現実)コンテンツが簡単に制作できる「COCOAR (ココアル)」

ええRアプリ

ARを使って街の魅力を発進したり、ユーザー体験を向上させることができる、観光誘客および学術利用に最適化されたソリューションが「ええRアプリ」です。

先述のCOCOARのように、誌面から拡張させて情報発信をすることができるほか、3DCGを活用して、地元の名勝や史跡などといった文化財を、より魅力的な形で発信することも可能となっています。

たとえば兵庫県西播磨県民局では、西播磨地区への誘客を目的として「西播磨の山城へGO」というアプリを開発し、山城「利神城(りかんじょう)」の歴史や城下2か所のARスポットでのみで再現できるコンテンツを提供しています。

地域活性&地域の魅力発信アプリ「ええR(ええあーる)」

まずは一般消費者としてサービスを使ってみましょう

今回は、自治体などの行政機関業務をデジタル化する「GovTech領域」で活用されているAR/VRについて、そのアプローチ例や実際の活用事例についてご紹介しました。

まだ圧倒的に観光・PR用途での利用が多いですが、今後デバイスが普及し、また技術が発展することで、申請手続きといった領域での活用も期待されるでしょう。

まずは一般消費者として、GovTechなAR/VRサービスを使ってみてください。

AR事例動画:IoT連携3Dワークフローほか全8社

Motto AR メールマガジン登録

最新情報やおすすめ記事などを、メールマガジンでお届けします。
ぜひご登録ください!

登録はこちら

Motto AR編集部

このライターの記事をもっと読む

  • twitter
  • facebook
  • LINE