デジタル時代の自動化から自律化へのシフトとは?

Technology
2023.01.24 | Motto AR編集部

昨今、先進的な企業は「自動化」の先の「自律化」に向けて進みつつあります。本記事では、そんな自動化、自律化の違いを踏まえ、それぞれの特徴とその先の自律化について詳しく解説します。

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昨今、IT技術の発展によって人工知能(AI)やデジタルトランスフォーメーション(DX)と一緒に「自動化」や「自律化」もトレンドになりつつあります。さらに先進的な企業は「自動化」の先の「自律化」に向けて進みつつあります。

これらは今後の人々の生活を豊かにするうえでは欠かせないものとされており、さまざまな分野で活躍しています。本記事では、そんな自動化、自律化の違いを踏まえ、それぞれの特徴とその先の自律化について詳しく解説します。

自動化・自律化とは?

「自動化」と「自律化」はIT業界の中でも似たような意味で使用されますが、明確な用途や目的は異なります。それでは、実際にそれぞれにどのような特徴があり、どのような違いがあるのか解説します。 

自動化や自律化は「4段階DX」のうちの2つ

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは「情報技術の浸透によって人々の生活を豊かにしたり利便性が増したりする」という仮説をもとに、ビックデータなどのデータとAIやIoTをはじめとするデジタル技術を活かして業務プロセスの改善や企業文化・風土の改革を確立することを指します。

このデジタルトランスフォーメーション(DX)は主に「見える化」「最適化」「自動化」「自律化」の4段階に分かれており、DXの取り組みによって行き着く先が「自動化」や「自律化」です。 

数値を可視化する「見える化」

まず見える化は、普段目では理解しえない情報も数値化することで事前にトラブルを防止します。また専門的知識が必要な管理も属人性をなくしたうえで管理も可能です。

たとえば工場の管理を行う際、機械の圧力や電流値など読み取るのに専門的な知識が必要な場合、読み取れる従業員と読み取れない従業員が出てしまうと業務の属人性が高くなります。しかし、これらの数値を誰でも一目でわかるようにすることで属人性を低くしたり、異常な数値も早期に把握できたりするためトラブルを未然に防止することが可能です。

業務効率の向上ができる「効率化・最適化」

最適化は、業務における課題や問題点をいち早く見つけ出して業務効率の向上や生産性向上につなげられます。

業務がルーティーン化しやすい作業の場合、日頃の慣れから業務の課題や問題点をみつけにくくなってしまうでしょう。しかし、デジタルトランスフォーメーション(DX)による最適化を行うことで、日頃見えてこなかった課題や問題点の解決法を見つけ出し、効率や生産性向上につなげられます。

 予定通りに動く「自動化」

自動化は主に「繰り返し」「ルール」「最適化」の3つの要素から成り立ちます。

繰り返しでは、ルーティーン化しやすいような繰り返しの業務を繰り返して行わせることで常に一定の成果を出し続けます。ルールでは、特定の条件を定めることで、バリエーションは増やしつつもルールに従った範囲内の作業を自動で再現し続けられます。最適化では、状況の変化をセンサーやログを通して情報収集し、与えた基準の範囲内で最適な条件を見つけて再現します。 

状況変化に柔軟に対応する自律化

自律化は「判断」「発見」「発明」の3つの要素からなっており、あらゆる状況にも自身の判断で柔軟に対応できます。

判断では、機械学習や認知機能によってこれまでに経験したことがないケースや定められていないルール以外の状況にも対応でき、最適な条件は何かを自身で判断することができます。発見では、これまでの経験や学習を通して新たな真実を見つけ出せます。発明では、発見した事実と組み合わせることで、これまでになかった創造物を自ら作り出せ、完全に自律状態になります。 

 自動化との大きな違いは「自分で学習できること」

先述したように「自動化」と「自律化」の大きな違いは自ら学習できることであり、自動化はあくまで定められたルールや手法の範囲でしか業務はできませんでした。しかし、自律化では、これまでの経験や機械学習を通して自ら考え、新たな最適法の発見と実現が可能です

現代社会における自律化の必要性

自律化は社会にとっても大きな影響を与えるとされており、注目を集めています。その主な理由としては以下のような点があげられます。

グローバル化による24h/365日対応

商圏やサプライチェーンがグローバル化し、24時間365日、刻々と変化する状況に対応することが求められています。多くの企業にとって、自動化は重要な目標となっています。自己診断、自己修復、自己統治が可能な自律的なシステムを持つことで、企業は変化を監視する能力を高め、より迅速な対応を可能にし、その場で迅速な意思決定を行うことができるようになります。

労働力不足

労働法や従業員のモチベーションの維持、ワークライフバランスから、単に労働時間を増やすという解決策も難しいのが現状です。そこで、企業は生産性の向上、納期厳守のために、DX化や自動化からさらに自律化という考え方を重要としています。

属人化問題

特定の個人の「経験」や「勘」に頼るリスクは、現在多くの企業で課題となっています。高齢化が進み、定年による離職が増える中、知識やスキルの継承が難しくなっています。企業は新しい人材や既存の人材に継承するための戦略を策定する必要に迫られています。自動化・自律化は、組織が成功し続けるために不可欠なものであり、知識を維持・向上するために重要な役割を担っています。

自律化の実用例

上記の必要性に駆られている現在、すでに自律化を導入している企業も増加しています。自律化の具体的な実例を紹介します。

AI自律制御事例

横河電機株式会社とJSR株式会社は、共同実証実験を行い世界で初めてAI制御の化学プラントに強化学習型AIを適用しました。これまで手動制御でなければ不可能であったバルブなどの工程を制御することに成功した結果、35日間自律運転することができました。

参照:【横河電機/JSR】世界初 AIによる自律制御で化学プラントを35日間連続制御

AI需要予測事例

ケーキメーカーの不二家はデジタル技術を活用した「商品需要予測システム」の開発を行っています。過去の販売実績やキャンペーン情報、商品規格情報、売価などの相関性をディープラーニング技術で分析し効率化を図っています。従来は、担当者の長年の経験をもとに、原材料の調達や物流、出荷計画などを分析して、製品の需要を予測していましたが、消費者の需要を正確に予測することは困難でした。そこで基準値はデジタルが出して、意思決定のコアな部分は人間の強みを生かすハイブリッドで新しい需要予測の仕組みをつくり上げています。

参照:ケーキの不二家「AI需要予測」を本格導入。「マロンモンブランはありません」とはもう言わせない | Business Insider Japan 

AIで生産最適化事例

ロート製薬の新工場(三重県伊賀市)は工場運営の最適化を図るため、九州大学と共同で、センサーなどを使って人工知能(AI)が工場の稼働状況を監視するサイバーフィジカルシステム(CPS)を導入し、AIが常に工場の稼働を最適化するモデル工場として稼働しています。

参照:ロート製薬、三重県伊賀市の新工場稼働 AIで生産最適化

AIを活用した「着雪量予測モデル」事例

JR西日本は北陸新幹線でAIを活用した「着雪量予測モデル」の本格的な運用を開始しました。このモデルは、除雪作業を発動すべきタイミングを予測し、不要な作業を防止可能です。それにより人件費の削減と新幹線の安定運行が実現する仕組みを高精度化されています。

参照:JR西日本が北陸新幹線でAIを活用した「着雪量予測モデル」の本運用を開始 雪落とし作業の実施発動を高精度化 | DIGITALIST

まとめ

今回は、デジタルトランスフォーメーション(DX)における「自動化」と「自律化」に焦点をあてて、それぞれの特徴を踏まえながら主な違いや必要性について解説してきました。

特に自律化は世界においても注目されている技術であり、先進的な企業は「自動化」の先の「自律化」に向けてシフトしています。より一層人々の暮らしを豊かにできるような発展に期待が高まります。

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