順天堂、医療現場における安全な胸腔ドレナージの実現を目指してクラウドファンディングを実施
2022.04.19
順天堂大学医学部呼吸器外科学講座が、胸腔ドレーン挿入法(胸腔ドレナージ)の安全性を高めるべく、AR(Augmented reality:拡張現実)を活用したシステム構築とその技術開発を進めるため、2022年4月18日よりクラウドファンディングを開始した。
ドレナージとは
体内に貯留した血液・膿・浸出液・気体などを体外に排出することを言い、医療現場において一般的に行われている処置のこと。腹水に対する腹腔ドレナージや、気胸に対する胸腔ドレナージが代表的なものとして挙げられる。
これまでの腹腔ドレナージと胸腔ドレナージ
- 腹腔ドレナージ
腹腔内は超音波によって臓器の位置や腹水の貯留状況を知ることができる
→腹腔ドレナージでは、超音波検査が多用されている - 胸腔ドレナージ
胸腔には気体が介在するため、超音波が気体に跳ね返されてしまう
→胸腔ドレナージでは、超音波検査を用いることができない
→胸部CTを撮像し、事前に術者が頭の中で詳細に分析したうえで、患者さんのベッドサイドでドレーンを挿入する必要があった
胸腔ドレナージのリスク
- 胸膜の異常な肥厚や、胸腔のドレナージスペースの狭小化などの理由から、実施が極めて困難となるケースが多く生じているのが現状だった
- 胸腔ドレーン挿入時にしばしば発生する胸腔臓器損傷は、重大な合併症を引き起こすことからも、安全な胸腔ドレーン挿入法の開発は不可欠だった
現状を打破するため、クラウドファンディングを実施
順天堂大学と株式会社VR Japanが共同研究をし、ARを用いて胸部CTの情報をARグラスに反映し“体腔内を透視した状況”を実現。胸腔ドレーンの安全な挿入をサポートするシステム構築の研究を推進するためのクラウドファンディングを開始した。
- 募集期間:2022年4月18日~5月31日
- 目標金額:6,500,000円
研究概要
予め撮影したCT画像を、臓器、血管、神経の位置関係を立体的に把握するために3D画像データとして処理し、術者のARグラス上で患者の画像に重ね合わせることで、あたかも眼前の患者の体内を透視しているような環境下で、 安全にドレーンチューブを体内に挿入することを可能にするための手法と技術の研究を行う。
詳細URL: https://readyfor.jp/projects/juntendo1838

研究代表者コメント
順天堂大学医学部呼吸器外科学講座主任教授の鈴木健司氏は、今後の展望を次のように説明する。
「日々行われるドレナージですが、安全に行うための方法が確立されていないと感じてきました。この度、患者さんのためにドレナージの安全性をより高めることを目指し、クラウドファンディングを活用し、実現に向けて動き出します。患者さんにとって“より安全に”医療を受けることができる未来、そして医師にとっても、テクノロジーの力を借りてより簡単に施術ができる未来を目指して。皆さまのあたたかい応援・ご寄付を、心よりお待ちしております。よろしくお願いいたします。」


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