UDトラックス、PTCジャパンとの協業で新たなデータプラットフォームを構築。DXを強化へ
2022.05.13
UDトラックス株式会社と、CADおよびPLMなどのソフトウェアを提供するPTCジャパン株式会社は、2022年5月12日、UDトラックスにおけるエンジニアリングチェーンとサプライチェーンのデータ連携を加速するための新たなデータプラットフォームを構築することで合意した。
UDトラックスでは、かねてから生産計画や品質管理の情報などに関するビッグデータの一元管理、コミュニケーションの見える化やデジタル化、データを用いて定型化された事実法則に基づいた意思決定をするエビデンス・ベースド・マネジメントの採用などを通じて、データ・ドリブン文化の確立に向けた取り組みを進めており、今回の協業でさらにDXを加速させる。
目的
- 製品に関するデータの利活用および情報共有を進めることで、さまざまなリスクに対して強靭なサプライチェーンを構築する
- 「モノづくり」の中核であるエンジニアリング能力を高め、スマートロジスティクスを実現する
UDトラックスとPTCでつないだ設計、製造、販売部門
エンジニアリングチェーンでは、製品の品質とコストの8割程度を決定すると言われる設計段階における効率化と生産性を高めるため、PTCと連携し、トラックなどの商用車の設計に必要なデータ連携を進めてきた。
そしてPTCが提供する3D CADソフトウェアソリューションであるCreo®やエンタープライズ製品ライフサイクル管理(PLM)ソフトウェアであるWindchill®を活用し、設計部門が3D CADで構成したデータ情報と製造部門で流通する部品表などのデータを統合したデジタルモデルを構築。双方がスムーズに連携し、設計段階における問題点の早期発見、品質向上、後工程での手戻りによるムダの排除などを実現した。
PTCが新たに提供するのは、工場IoTプラットフォームであるThingWorx®および設計、製造、営業・アフターサービス領域におけるARソリューションであるVuforia® Studio、Vuforia® Instruct、そしてVuforia® Chalk。これらを活用してデジタルデータ利用領域を拡大し、両社でDXを強力に推進する。
UDトラックスではすでにVR(仮想現実)やAR(拡張現実)ツールを活用して効率的な設計工程管理を行っているが、データ共有インフラを整備することで、例えば進行中の設計における試作品の試験データをデジタルツインに適用し、より迅速に問題の把握と対策を講じることが可能となる。
採用事例
3D CAD Creo で実現する「自動設計」開発
エンジン及びボディの設計に、3D CADソフトウェアであるPTCのCreo®を採用。汎用性の高い機能や仕様やバリエーションをモジュールとして定義し、それをもとに短時間で最適な形状(部品データ)を生成し、自動アセンブリを行い、効率と生産性の高い「自動設計」を実現。
Windchillで実現クラウドに3Dデータをグローバルで一元管理
Creo®の多彩なテクロノロジーをフルに活かし、精巧なアセンブリとして自動設計された3Dデータや、そこから生成されるサービス情報は、製品ライフサイクル管理(PLM)ソフトウェアであるPTCのWindchill®によって、社内クラウドを介して一元管理を行う。
Windchill®で整備された3Dデータのサービス活用
また、Creo®で設計されWindchill®で管理されたデータは、工場やサービスにも活用される。データは、PTCのArbortext®を活用することで、設計データはトラックのメンテナンスカタログやパーツカタログ、サービスマニュアル、整備手順情報などのサービス情報へと展開される。Arbortext®を活用することにより、Windchill®で管理、共有されるカタログやマニュアルなどのデータは、トレーサビリティが保たれ、常に最新版の情報がいつでもグローバルのどの拠点からでも、高い効率と生産性を維持したドキュメント作成が可能になる。本ソリューションは、さまざまな事例をもとに集約されたサービス対応策の参照や問題にかかわる情報の検索などが可能で、UDトラックスのカスタマーセンターサービスの均質化と顧客満足度向上を目指して活用される。
3DデータのAR画像表示で、保守、オペレーション、コミュニケーションを向上
設計、製造、営業・アフターサービス領域ではARソリューションVuforia®を採用。Creo®で生成されWindchill®で管理された3Dデータを素早くARコンテンツ化できるVuforia® Studioを使ってノウハウや技術を伝承し、グローバルに作業の効率化、品質向上を目指す。また、AR遠隔コミュニケーションツールVuforia® Chalkでは、遠隔支援ができていない仕事の遠隔支援化による効率化やコスト削減、遠隔支援している仕事でのコミュニケーションミス・ロスの削減を進めている。
Windchill®で管理、3Dデータを繋ぐIoTプラットフォーム
工場IoTプラットフォームには、ThingWorx®を採用。OPCサーバー製品であるKepware®を使ってプログラミングレスで設備からデータを集約し、作業ラインにおけるオーダー進捗や、ラインスピードの見える化をダッシュボード化し生産効率化を実現している。
UDトラックスについて
世界60カ国以上で先進的な輸送ソリューションを提供する日本の商用車メーカー。1935年の創立以来、「時世が求めるトラックとサービスを提供する」というビジョンを掲げ、革新的な技術の開発で業界をけん引している。大型トラック「クオン(Quon)」「クエスター(Quester)」から中型トラック「コンドル(Condor)」「クローナー(Croner)」、小型トラック「カゼット(Kazet)」「クーザー(Kuzer)」までのフルラインアップを揃え、世界各国の様々なニーズに対応している。
PTCジャパンについて
米PTCの日本法人。CAD、製品ライフサイクル管理(PLM)、IoTアプリケーション開発プラットフォーム、拡張現実(AR)オーサリングソリューションの各テクノロジーソリューションにより、製造業における顧客企業を支援している。拡張性と相互運用性に優れた製品設計ソフトウェア群のCreo®、製品とサービスのライフサイクル全体にわたる製品コンテンツと業務プロセス一元管理のWindchill®、工学技術計算の設計と文書化を同時に行えるMathcad、IoTアプリケーション開発プラットフォームのThingWorx®、拡張現実(AR)オーサリングソリューションのVuforia®、産業用接続プラットフォームのKepware®といった革新的なソフトウェア製品と、製品開発業務プロセス改革コンサルティング、製品教育サービス、テクニカルサポートを提供している。

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