三菱電機のデジタルコックピットにグリーン・ヒルズ・ソフトウェアが搭載
2022.06.01
組込みの安全性とセキュリティの世界的リーダーであるGreen Hills Software社(グリーンヒルズ)は、三菱電機株式会社が新たに発表したInca Jayデジタルコックピットを実行、保護する高性能な安全・安心ソフトウェア基盤としての役割を担うことを発表した。

背景
- 自動車のコックピットで使用されるソフトウェア・アプリケーションの数が増え複雑化する中、OEMは、より多くの異なる種類のアプリケーションを同じプロセッサ上に組み合わせつつも、重要な機能同士が干渉しないことを保証しなければならないという問題に直面した
- OEMは何百万行ものコードを開発・統合するための時間とコストを削減し、高度なソフトウェア開発ツールが必要とされた
- 三菱電機は、Inca Jayのソフトウェアを安全かつセキュアに実行および保護し、Qualcomm 3rd Generation Snapdragon Cockpit Platformの性能を活用するために、グリーンヒルズのINTEGRITYリアルタイムOS(RTOS)を採用した
デジタルコックピットInca Jay概要
- 先進運転支援システム(ADAS)、キャビン・セーフティ、拡張現実ユーザー体験(UX)を特徴としている
- Inca Jayにより、OEMは安全性・セキュリティ・拡張現実(AR)を駆使したユーザー体験を強化した次世代の車両デジタルコックピットの開発を可能とした
また、下記のような機能を搭載している。
- ドライバーモニタリングシステム(DMS)
・車載の近赤外線カメラを活用し、顔の表情や脈拍・呼吸数などの身体情報からドライバーの眠気や急病を検出する
・フェイストラッキング技術や画像処理技術により、車両の振動や周囲の明るさの変化があっても、心拍の変化による肌色のわずかな変化を検出する
・体調の異常を検知した場合、ドライバーに停止を促して休息を取らせたり、他のシステムに通知して自動緊急駐車をすることができる
・子どもを車内に放置した場合、毛布にくるまっていたり、足元に倒れていたりとカメラの死角になる場合でも、子どもの存在を車内センサーが検知し、ドライバーや近くにいる人に注意を促す - HDL(High-Definition Locator)
・DMSと組み合わせることで、より安全な夜間走行のためのアダプティブ・ディレクショナル・ヘッドライトを提供する
・HDLを拡張現実と組み合わせることで、センターディスプレイに位置情報や決済サービス、駐車場やランドマークを表示することが可能となる
・クレジットカード情報をスキャンして保存することで、簡単に決済を行うことができる - ARグラフィックスオーバーレイ
ASIL B認証を取得したインストルメントクラスターとセンターコンソールには、TomTom Navigation for Automotiveのカスタムバージョンによって、直感的なナビゲーションガイダンスと位置情報サービスを表示するARグラフィックスオーバーレイが搭載されている
グリーンヒルズの様々なソリューション
- INTEGRITY RTOS(ASIL認証)
Inca Jayアプリケーションのリアルタイムリソース、フェイルセーフタイミング、悪意のあるソフトウェアや誤動作からの保護を保証している、安全でセキュアなソフトウェア実行プラットフォーム - INTEGRITY Multivisor仮想化ソリューション
Androidインフォテインメント機能を、安全性とセキュリティが重要な機能から分離されている保護されたソフトウェアパーティション内で、同じプロセッサを共有しながらも安全かつセキュアに実行する
このように、ソフトウェアを統合することで、認証コストを削減し、複雑さを軽減することができる。
各担当者コメント
各担当者は、今回の発表について、次のように説明した。
- Mark Rakoski氏
三菱電機オートモーティブ・アメリカ社のエンジニアリング担当副バイスプレジデント兼、三菱電機オートモーティブ・アメリカが新たに設立したアドバンスト・エンジニアリング部門であるフィラメント・ラボ責任者
「業界をリードするGreen Hills Software社と協力して、Inca Jayデジタルコックピットを開発できたことを嬉しく思います。Inca Jayは、INTEGRITY RTOSの信頼できる実行プラットフォームに依存しており、当社の開発者は、MULTI統合開発環境を使用して、より高い性能と生産性を達成しています。Green Hills Softwareとのコラボレーションにより、Inca Jayは、自動車におけるコネクティビティとユーザビリティの未来を形作ることができるソリューションを提供することができました。」
- Dan Mender氏
Green Hills Softwareのビジネス開発担当バイスプレジデント
「三菱電機がグリーンヒルズの技術を採用し、先進のデジタルコックピットや安全技術のための安全で確実な基盤として、当社の経験が生かされたことを大変喜ばしく思っています。高性能なARグラフィックスとキャビンの安全機能を備えたシステムクリティカルな機能を高い信頼性をもって実行することは、コックピットの重要な要件です。グローバルな自動車業界のお客様は、次世代セーフティクリティカルなデジタルコックピットのコストと導入期間を削減しながら、これらの強化された機能を実現することができます。」
Green Hills Softwareについて
- 1982年に創業し、組み込み分野においての安全性とセキュリティに関して信頼性が高い
- 2008年に開発したGHSのINTEGRITY-178は、NIAPから、セキュリティ規格EAL6+のHigh Robustnessの認定を受けた唯一のオペレーティング・システムとして、これまでのあらゆるソフトウェア製品の中で最高レベルのセキュリティを実現している
- GHSのオープン・アーキテクチャー統合開発ソリューションは、機能安全認証が必要な軍事・航空、医療、工業、自動車、ネットワーク、コンシューマーその他マーケット向けの高度な組み込み型で絶対的な安全性を持ち、高い信頼性のアプリケーションに対応している

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