東京大学生産技術研究所インタースペース研究センター豊田研究室、「ゲームAI」「BIM」「NFT/ブロックチェーン」を核とする研究体制構築を完了
2022.06.09
東京大学生産技術研究所インタースペース研究センター豊田研究室は、2022年5月1日よりスタートバーン株式会社 代表取締役・施井 泰平氏をリサーチフェローに迎え、これまで目指してきた「ゲームAI/ゲームエンジン」、「BIM」、「ブロックチェーン/NFT」の3つの核をベースとした「3領域連携」の研究体制が整ったことを発表した。
今後、様々な分野での活用が期待できるため、学内外に幅広く連携を募っていくという。
インタースペース研究センターの掲げる「3領域連携」とは

「3領域連携」研究体制イメージ図
これまでは静的なデータ体系として扱われてきたBIMが、ゲームエンジンという動的なデータ体系を通して竣工後の活用可能性に接続されることで、コモングラウンドの社会実装を促進するものになる。また、BIMという建設業界に閉じた高度なデータアセットをNFTおよびブロックチェーン技術を通じ、より広範な社会インフラでのデータ流通へ可能性を拡張することを目指すと説明している。
さらに、ゲームやVR空間内でのデータセットがブロックチェーンおよびNFTと接続することで、デジタル拡張領域での新たな市場開拓の可能性を模索することにもつながるという。
インタースペース研究センターは、これまでデジタルツイン化がもたらす福利を最大化すべく、サイバー空間とフィジカル空間の境界領域(インタースペース)に両空間の高度な連携の基盤を設計し、その体系化と社会への実装を目指して研究を進めてきた。
今回、各領域にリサーチフェローを招聘することで「ゲームAI」「BIM」「NFT/ブロックチェーン」の「3領域連携」を実現する研究体制を強固なものとし、これらの連携のための体系化や事業化に必要な基礎技術開発、あるいはより広域の社会的な体系化や価値化をリードする研究体制が整ったと説明している。
各領域におけるリサーチフェロー
- 三宅 陽一郎氏(株式会社スクウェア・エニックス AI部ジェネラルマネージャー、リードAIリサーチャー)
- 石澤 宰氏(株式会社竹中工務店 設計本部アドバンストデザイン部コンピュテーショナルデザイングループ長)
- 施井 泰平氏(スタートバーン株式会社 代表取締役)
コアとなる3領域の研究活用意義と可能性
- BIM/GIS分野・・・社会実装が先行する、セマンティクス記述に特化したデジタルアーキテクチャ(都市OS等)に対し、実空間のデジタル記述に特化した先行実装領域(建設、土木由来の静的体系)としての研究意義があり、GIS、BIM、点群、ボクセル、ゲームエンジンなどの領域と、位相幾何学的な解析空間、シミュレーションやデータアーカイブ化などの、産業領域ごとに異なる記述仕様を繋ぐ体系づくりと、その基準骨格としてのBIMおよびGISという位置づけを目指す。
- ゲームAI/ゲームエンジン分野・・・現実世界のデジタル記述とIoTプラットフォームとの連携により、ゲームエンジンの特性およびアーキテクチャが実空間で活用できる可能性を研究する。また、パス生成などを扱うスパーシャルAI、全体を制御するメタAI、あるいはキャラクターAIが、連携して行為空間を生成、制御することを、バーチャル空間において市販・通信ベースでの実装を目指す。
- NFT/ブロックチェーン分野・・・あらゆるモノや行為がデジタル記述されることが標準化された世界での、データの流通と価値化の可能性を開拓することで、ゲームエンジンをもとにしたコモングラウンドの体系構築と実装に向けて、関連分野を横断する有識者とともに研究を進めていく基盤づくりを進める。
同センターは「これら3領域を相互補完し、連携する研究体制はこれまで例がなく、サイバー空間とフィジカル空間の境界領域(インタースペース)に両空間の高度な連携の基盤を設計し、その体系化と社会への実装を目指すために、重要な基盤であり欠かせない研究体制であると確信している」と説明している。

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