三井不動産、多様なパートナーと共に未来へ繋げる街づくりを推進。「生存特区」の共創パートナー6社より受賞企業が決定
2022.06.13
三井不動産の創立80周年記念事業として生まれた「未来特区プロジェクト」。 三井不動産グループは、既存の枠組みや概念にとらわれず、三井不動産の社員が新たな都市のあり方を考え、人と繋がり事業創造を進めてきた。

「未来特区プロジェクト」
- 「未来特区プロジェクト」は、未来の街づくりの模索を目的として2020年にスタートした
- プロジェクトチームは、「都市機能の本質」として「生存」「コミュニケーション」「文化」の3テーマを設定
- テーマごとに、スタートアップや学界の専門家、クリエイターなど幅広いバックグラウンドを持つパートナーと協働を進めてきた
- 2022年5月27日には、プロジェクトの集大成として「未来特区カンファレンス」を開催。これからの街づくりのあり方についてさらに議論を深めると同時に、既存の枠組みを越えて新しいことに挑戦することの意義や、多様なパートナーとの協働がもたらす未来の可能性を再確認した
生存特区プロジェクト
- 人々の「生存」を支えて暮らしを守るインフラサービスは、自立的でサステナブルな街づくりを実現するための根幹的存在
- 「都市の自立性を高めるテクノロジー」をテーマに、「資源循環」「廃棄物循環」「食料生産」「安心・安全」「拡張生態系」といったインフラ関連領域で共創アイデアを公募
- 50を超える応募の中から選ばれた6社がカンファレンスでピッチを開催し、三井不動産グループと創るイノベーティブな事業アイデアを披露した
コミュニケーション特区プロジェクト
- 同プロジェクトは、テクノロジーの力で「出会い」と「関係構築」を再設計し、イノベーションの創出と加速を目指している
- アカデミアの知見も積極的に取り入れながら、新時代のコミュニケーション環境を提供するソフトウェアの開発に取り組んでいる
- 現実以前の建築”UN/BUILT”というコンセプトのもと、共創するクリエーターと協議し、創造活動を行ってきたアート作品を日本橋で展示
- NFT化によるデジタルアート販売の場も構築している
クリエイター特区プロジェクト
- 作品を展示し、作品に触れあう「場」そのものをクリエイターと共に創造し、街に新しいアイデアを実装した
- リアル・デジタル・デジタルオンリアル(AR)という3つの場にアートを展示する「リアル・デジタル融合型ギャラリー」を日本橋に展開
- 日本橋を舞台としたARアートのアイデアソンでは約500点から選ばれた2点のアイデアが川田十夢氏率いる開発ユニット(AR三兄弟)によって作品化され、カンファレンスで披露された

未来の街づくりの「Day 1」:「未来特区カンファレンス」レポート

同カンファレンスについて、三井不動産は次のように説明した。
「登壇者や来場者から飛び出す多種多様な意見が、都市の可能性をいっそう広めた今回のカンファレンス。これを第一歩として、未来特区プロジェクトで構想してきた未来の街づくりに向けて、さまざまなパートナーと共に事業に繋げていきます。」
下記にて、カンファレンスの様子を紹介する。
- カンファレンスの劈頭を飾ったのはは、科学・経済啓蒙家マット・リドレー氏による基調講演「都市と人類とイノベーション」。イノベーションの源泉たる都市の要件を歴史的視座から検討し、そこで営まれる協働を不可欠なものとする氏の議論は、多様性にひらかれた自由な街づくりの必要性を再確認させるものだった。
- 「ネクスト未来特区セッション」と題して、これからの街に求められるものやそのためにできることを参加者どうしで自由にディスカッションする場とした。普段は異なる分野で活動する人々が一堂に会して意見を交わし、街づくりの可能性を広げるアイデアが生まれるアクティブな時間となった。
- 「生存特区」の共創パートナー6社より三井不動産との事業共創アイデアを発表。半年間の議論を経てブラッシュアップされたビジョンが、より良い未来への熱い想いとともに語られた。審査の結果、株式会社Yanekaraが優勝、株式会社TOWINGが準優勝を収めた。
- 「コミュニケーション特区」では、新時代に即した関係構築のあり方を模索しているゲストを交えてパネルディスカッションを実施。これからの時代に求められる出会いや対話の形を自由闊達に話し合うとともに、新しいコミュニケーションの形を追求する「Digital BASE Q」プロジェクトの構想を発表した。
- 「クリエイター特区」では、場づくりや作品の制作に携わった複数のメンバーが共創のプロトタイプを披露。街に息づく新しいアートやそこに生まれる未来の文化を感じさせる、刺激的なプレゼンテーションとなった。
優勝・準優勝企業
- 優勝企業:株式会社Yanekara
三井不動産の持つ国内有数のEVや蓄電池などをYanekaraの次世代型V2Xプラットフォーム。「YaneBox」で群制御して調整電力として提供し、2030年代の電力需給バランスを支える事業アイディアを発表。三井不動産のアセットをフル活用することでシナジー効果の高い共創が見込まれる領域であることが評価された。
- 準優勝企業:株式会社TOWING
TOWINGが開発している大地への炭素固定が可能な“宙苗”を活用して、企業と農家を繋ぎ、環境貢献データと作物を販売する宙農プラットフォーム運営計画を発表。土壌の高機能化と炭素固定を両立した技術の独創性と、「炭素固定の履歴をもった食品」という市場の創造性が評価された。
未来特区プロデューサー インタビュー

未来特区プロデューサー(ベンチャー共創事業部)の川瀬康司氏は、インタビューに対し、次のように答えた。「未来特区プロジェクト」が発足した当時「このプロジェクトが始動したのは、2020年のことでした。『80周年を機にアイデアソンのような取り組みでイノベーションの種を見つけられないか』という副社長(当時)の呼びかけで、私を含む社員8名が招集されたのが始まりです。そのとき集まった8名の所属部署はバラバラでした。ベンチャー共創事業部、ライフサイエンス・イノベーション推進部、日本橋街づくり推進部、商業施設本部、そして海外事業本部……多様なバックグラウンドを持つメンバーが、一つのチームとしてプロジェクトに取り組むことになったわけです。座長は発起人である副社長でしたが、若い感性を活かしてほしいという意向のもと、進行はすべて私たち8名に任されました。つまり『何でもやって良い』という状況です。そこで、まずは一人ひとりが『自分は何をやりたいのか』を考えるところからスタートしました。」
事業部横断型のプロジェクトと普段の業務を比べて
- 「それぞれの事業部には独自のミッションがありますよね。例えば私が所属するベンチャー共創事業部なら「スタートアップとの共創を通じて自社でイノベーションを起こす」というゴールが前提にあって、その枠組みの中で仕事に取り組むことになります。今回は、「どこをゴールに設定するか」「何をミッションとするか」という部分からすべて自分たちで決定していく必要がありました。こういった状況下で、メンバーがそれぞれ違う部署から来ており、「共通の前提」を持っていないことがポジティブに働いたと思います。なんの枠組みにもとらわれることなく、それぞれが互いの「個」としての興味関心を尊重し、自由で柔軟な発想でディスカッションを進めることができたからです。」
まっさらな状態からプロジェクトを形にするにあたり、苦労したこと
- 「意欲的なメンバーばかりで構成されるチームなので、『やってみたいこと』のアイデアは本当にたくさん集まりました。ただ、それらの多彩なアイデアを『未来都市』という大きな主題のもとにまとめていくのは大変でしたね。街づくりにおいて何が一番本質的なことなのか、何度も議論を重ねる必要がありました。最終的にチームの意見がまとまったきっかけは、『2041年に創立100周年を迎えるとき、三井不動産はどのような存在になっているべきか』を考えたことだと思います。自由にアイデアを出し切ったあとにもう一度原点に立ち返って議論することで、『生存』『コミュニケーション』『文化』という3つのテーマが自然と浮かび上がってきました。普段から社員一人ひとりが自分の中に『三井不動産の理想像』を抱いている、その社風に助けられたと思っています。」
テーマの決定後は、どのように共創の取り組みを進めてきたのか
- 「今回は、3つのテーマに対してそれぞれ異なるアプローチを採用しました。目指すゴールに合わせて、パートナーの募り方やコンセプトの打ち出し方などを変えたのです。これは、本プロジェクトの大きな特徴の一つだと思います。複数のアプローチを試してみてわかったのは、『何をやりたいかによって適切なやり方は違う』ということです。『これが常に正しい』と言えるものはなく、応募のハードルをどれくらいの高さに設定するか、提示するコンセプトの抽象度をどうするかなど、あらゆるパラメータを目的に合わせて細かく調整していくことが大切だと学びました。今後ほかのプロジェクトでも、『やりたいことベース』で都度やり方を決めていくのが良いと思っています。」
プロジェクトを通して、新たに気づいたこと
- 「今回のプロジェクトでは、先端分野のクリエイターや学界の研究者など、従来の業務では関わる機会がなかった方との協働が叶いました。より正確には、「アカデミアの研究者でもありビジネスパーソンでもある」「本業とは別にクリエイターとしての顔も持っている」など、簡単にはラベリングできない人々と関わる機会に恵まれたといったほうがよいかもしれません。そういった人々との協働を通して、『この人は◯◯だから××だ』『こういう場面ではこうするのが普通だ』という決めつけやラベリングに陥らないことの重要性を学びました。既成概念にとらわれない、常に多様性にひらかれた思考こそが自由な発想の土壌になり、オープンイノベーションを加速させていくのだと思います。」
「未来特区カンファレンス」を終えての感想とこれからの構想
- 「プロジェクトを通じて、『街づくりをよりいっそう進化・深化させる』という全社的なミッションはもちろん、社員が持っている『個』としての力・想いの強さや、それを尊重して活かす三井不動産の社風も伝えられたと思っています。これまで多くの方々と一緒に蒔いてきた街づくりの種を大切にして、大きな樹へと育てていきたいですね。長い時間軸で事業に取り組み続けてきたデベロッパーとして、10年、20年先も街を支え続けられるような事業を共創したいと思っています。」
三井不動産グループのSDGsへの貢献について
- 三井不動産グループは、「共生・共存」「多様な価値観の連繋」「持続可能な社会の実現」の理念のもと、人と地球がともに豊かになる社会を目指し、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)を意識した事業推進、すなわちESG経営を推進している
- 下記の「重点的に取り組む6つの目標」に取り組むことで、「Society 5.0」の実現や、「SDGs」の達成に大きく貢献できるものと考えている
(1)街づくりを通した超スマート社会の実現
(2)多様な人材が活躍できる社会の実現
(3) 健やか・安全・安心なくらしの実現
(4) オープンイノベーションによる新産業の創造
(5) 環境負荷の低減とエネルギーの創出
(6)コンプライアンス・ガバナンスの継続的な向上 - URL:https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/esg_csr/

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