VRの市場規模は5G登場でどう変わるのか?2020年の業界動向と、2021年以降の市場を予想

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2020.12.21 | Motto AR編集部

各種MRスマートグラスやスマートフォン接続型VR機器など、さまざまなハードウェアがBtoC市場を中心に登場してきました。一方で、VRはまだまだ新しい産業であるために、将来の変化には不透明感があると感じるのではないでしょうか。本記事では、2020年以降のVR市場動向や、国内外のVR市場規模の推移について解説し、現在注目されているVR関連企業についてもご紹介します。

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VR元年と呼ばれた2016年から4年。各種MRスマートグラスやスマートフォン接続型VR機器など、さまざまなハードウェアがBtoC市場を中心に登場してきました。2020年からは第5世代移動通信システム「5G」の導入も本格化しており、それにともなって、大容量通信が前提となるVRやARコンテンツへの機運も、着々と高まっているといえます。

一方で、VRはまだまだ新しい産業であるために、将来の変化には不透明感があると感じるのではないでしょうか。本記事では、2020年以降のVR市場動向や、国内外のVR市場規模の推移について解説し、現在注目されているVR関連企業についてもご紹介します。

なお、VRやAR、MRなどの違いや特徴についてご存知でない方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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2020年のVR市場の業界動向は?注目トレンドを紹介

2020年は新型コロナウイルス感染症のニュースで持ちきりでしたが、VR市場でも大きな動向が見られました。2020年の大きなトレンドは、次の3つです。

  1. 自己完結型HMDの普及が促進
  2. 5Gサービスの開始
  3. スマホと接続するVRデバイスが続々と登場

それぞれについて解説していきます。

自己完結型HMDの普及が促進

HMD(ヘッドマウントディスプレイ)市場は、VR元年となる2016年に急速に拡大。たとえばソニー・コンピュータエンタテインメントは、VR対応ヘッドマウントディスプレイ「PlayStation VR」(PS VR)を2016年10月にリリースするなど、主にゲーム領域における社会実装が大きく前進しました。

またその翌月には、日本マイクロソフトがWindows 10搭載の自己完結型ホログラフィックコンピューター「HoloLens」の開発者・法人向け販売を決定。toB、toC両面での機運が大きく高まった年になりました。

その2年後となる2018年には、自己完結型HMDとして、アメリカで「Oculus Go(オキュラス ゴー )」がリリース。低価格で動作環境が優れていることから、世界的に注目されることとなりました(Oculus Goは、2020年に販売終了が決定しています)。

そんな自己完結型HMD市場は2020年以降も注目度が高まっており、FacebookやAppleなど、GAFA企業による開発が着々と進んでいることから、今後ますますの市場規模拡大が予想されています。

5Gサービスの開始

2つ目のトレンドは、2020年から本格的にスタートした、5Gサービスの導入です。

5Gは、従来の4Gに比べて通信速度が速く、大容量通信を実現する規格です。5Gの普及に伴って、VR含むXR領域では、以下のような変化が期待されています。

  • 動画やゲームコンテンツの品質向上
  • コンテンツサービスのクラウド化の進行
  • 双方向通信が容易になる
  • XR(VR/AR/MR)360°動画のリアルタイム配信が可能になる

以上のように、5Gの登場により通信環境が劇的に改良されることは間違いありません。そのためVRの双方向通信や360°動画の品質が向上し、オンラインでありながら本物のライブのような臨場感を味わうことも、文化として定着する確度が格段に高まったといえます。

スマホと接続するVRデバイスが続々と登場

最後、3つ目のトレンドは、スマホと接続して手軽にVR体験ができる専用デバイスの活況です。スマホと接続できるVRデバイスの特徴は以下の通りです。

  • 手軽にVRを体験できる
  • 品揃えが豊富で安価
  • スマホの機種に対応している

スマホさえあればVRを体験できるため、わざわざパソコンや専用のゲーム機など、個別のハード機器を購入する必要がありません。さらに品揃えが豊富で、価格も安価なものが多いことも大きな特徴と言えます。

VR/ARの国内市場規模は?

以上の通り、2020年以降のVR市場はまだまだ伸びていくといえます。次は、その具体的な市場規模の様子、数字で確認していきましょう。

国内XR市場規模の推移

矢野経済研究所が2020年1月に発表した調査結果によると、XR(VR/AR/MR)および360°動画の市場規模予測は以下グラフの通り、右肩上がりに増加していくと予想されています。

(引用元:株式会社矢野経済研究所 プレスリリース「XR(VR/AR/MR)360°動画市場に関する調査を実施(2019年)」

2025年には1兆1,952億円と、2020年の4,955億円から比較して2倍以上の規模を誇ることになるとされています。

分野別の市場規模

上記に付随して、矢野経済研究所は、XR(VR/AR/MR)および360°動画におけるカテゴリー別の市場規模調査も行なっています。その結果が以下の表です。

(引用元:株式会社矢野経済研究所 プレスリリース「XR(VR/AR/MR)360°動画市場に関する調査を実施(2019年)

「VR機器」の開発と「ゲーム」を筆頭に、すべてのカテゴリーにおいて市場規模の拡大が見込まれていることが分かります。

また、医療・ヘルスケアや劇場・テーマパークなど、これまでオフラインのサービスがメインだった分野でも市場が拡大していることも、特筆すべき点として挙げられるでしょう。

VR/ARの世界市場の規模は?

以上から、日本国内のVR市場は、ほぼ全てのカテゴリーで右肩上がりに拡大していく見通しであることが分かりました。では、世界市場はどのようになっているのでしょうか。

世界市場におけるVR/ARの市場規模の推移

ここでは調査会社であるIDC Japanと米ゴールドマン・サックスによる調査結果を、それぞれご紹介します。

まずIDC Japanが2019年6月に発表した調査結果によると、VRの世界市場規模は2017年の139億ドル(1兆5,550億円)から、2020年に1,433億ドル(16兆330億円)まで拡大し、2023年には1,606.5億ドル(約17兆3000億円)にまで拡大すると予測しています。

一方で米ゴールドマン・サックスの調査では、2020年に3兆円の市場規模になると予測しています。

両者の数字が異なるのは、調査方法もさることながら、市場拡大アプローチの前提の違いに起因しているともいえます。IDC Japanは、VRが小売りや組み立て製造業で成長すると予測しているのに対して、ゴールドマン・サックスは一般消費者向けのVRソフトウェアが浸透すると予測しています。

世界における主要VR用HMDの累計出荷台数

現在の世界的なVR市場の潮流は米ゴールドマン・サックスの予測に近く、ゲームソフトウェアの販売を前提としたデバイスの普及が広がっています。たとえば、2017年時点のVR用HMDの出荷台数は以下のようになっています。

(引用元:日経TECH AR/VR世界市場は年率78%で急成長し2023年に17兆円規模に、IDC Japan予測

その後、現在にいたるまで次のようなVR用のゲームソフトウェアが人気を博しました。

  • Raw Data(ローデータ):シューティングゲーム
  • Job Simulator(ジョブシミュレーター):職業体験ができるゲーム

今後のゲーム市場の伸びは予測できる一方で、その他の分野の成長も期待したいところです。

知っておくべきVR市場の主要企業はこれだ

現時点では、国内外に関わらずVR市場ではゲームの占める割合が大きいといえるでしょう。とはいえ、VR市場で活躍する企業には医療やインフラ、イメージングデバイスなどを開発するユニークな会社も数多くあります。

ここでは、その中から特に知っておくべきVR市場の主要企業5社を紹介します。

Vayyar

Vayyarは、イスラエルに本拠地をおく4Dイメージングデバイスを開発しているVR企業です。4Dイメージングデバイスとは、壁や物体を透視できる技術のこと。同社技術は、自動車の製造時に、物体を透視することで自動車内部を可視化し安全面を確認することに活用されています。

さらに乳がんをセンサーだけで発見し、不快感の少ない安価な検査方法もPoCを進めています。

Unity Technologies

Unity Technologiesは、リアルタイム3D開発プラットフォームを提供するVR企業です。リアルタイム3D開発プラットフォームは、建築の図面や自動車の設計、ゲームや映像の世界観を仮想現実として表現できます。

たとえばオフィスのレイアウトを考えるときは紙に書き出した2次元的な図面だけでなく、仮想現実の世界にイメージを作り上げて3次元的な図面を作り出せるのです。

Unity Technologiesが扱える分野は、以下のように多岐に渡ります。

  • ゲーム
  • アニメ
  • 映画
  • 建築
  • 自動車・輸送機器設計
  • インフラ整備

MindMaze

MindMazeはスイスにあるVR企業です。VRやコンピューターグラフィックで、損傷のある神経や脳を刺激するVR製品を開発しています。たとえば神経や脳のリハビリ治療の際に、直感的にコンピューターに指示を与えられるヒューマンマシンインターフェイスを取り入れることで、ストレスのないスムーズなリハビリを実現しています。

Meow Wolf

Meow Wolfは、もともとアート制作をしていた企業です。作品をVRで見せることで没入感のあるアート体験を提供する企業として生まれ変わりました。Meow Wolfの没入型アートは、VRの他にストリーミングやAR、ライブイベントでも配信されています。

3vja.com

3vja.comは、中国にある住居見学からインテリア設計までをVRで手がける企業です。住居見学をVRで実現する企業自体は各所で増えていますが、3vja.comでは、椅子やベット、キャビネット、絨毯などのインテリア部分までVRで設計できるのです。

自分好みの室内設計を、リアリティをもって行えるのが3vjia.comの魅力だと言えます。

VR市場はあらゆるカテゴリーの成長に期待

2020年になって、VR市場は5Gの導入やHMDの普及等を追い風に、市場規模を拡大し続けています。国内外に関わらずVRの市場規模は今後もさらに拡大するでしょう。これまでVR市場を牽引してきたゲームだけではなく、それ以外のカテゴリーの成長に注目が集まります。

あらゆる産業とVRのテクノロジーが融合すれば、これまでの日常が大きく変わるようなユーザー体験が創出され、デジタル化が急速に進んだ現代のデファクトスタンダードになるかもしれません。

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